したがき

 サンタ・クロースのそりを引くトナ・カイがサンタ・クロースの弟子だという話はそれほどマイナーではない。神さまがツボに入れていた生き物たちをうっかり妖精が地上に落としたときにそれもまた同じように落ちてきたのだ。

 僕は先ほど作り終わった毒をボトルにとくとくと注いだ。思わず自分で聞いても自慢げな鼻息がヒゲを揺らす。トナ・カイ捕獲のための準備の中でこの作業が1番好きなのだ。神様が、今の世界に生きるぼくたちを作ったときを彷彿とさせるから。注ぎ終われば、ちらちらと燃えている蝋燭のほうへかざしてみた。こぼさないように慎重に揺らしてみれば、容器の中で液体が波立っている。いい出来だ、悪くない。ぼくはきゅうっと蓋を閉じた。それから、先ほどまで毒の調合を行っていたぐちゃぐちゃな作業台の上に適当にスペースを空けて毒を置いた。